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ニュー・ジャック・スウィング後期の自作自演型ボーカル・グループの1st。



Shaiの項で述べたように、意外と珍しいセルフ・コンテインドR&Bボーカル・グループの一つ。中心人物Michael Angelo Saulsberryがコーラスと共にほとんどの楽器を手掛ける才人で、残りのメンバー3人もリードの他にキーボード、プログラミングにクレジットされている。プロデュース、アレンジはPortrait名義。"Here We Go Again!"は総合11位(R&B 3位)のヒットに。



ボーカル・グループとしてはみな線が細めの声で、Boyz II Menみたいなのを期待するとコーラスは迫力に欠け、Jodeciみたいにカリスマ的リードボーカリストがいる訳でもないので大分薄口に感じるかもしれない。そのへんもShaiに似ている。



1. "Commitment"
Sekou Bunchのベースが跳ねるニュージャック。ニュー・ジャック・スウィングの時代でもだいぶ後期に入るので、リズムセクションはかなり洗練されているが、それでもこの時代の音に慣れている必要はあるかもしれない。

2. "Honey Dip"

3. "Here We Go Again!"
Michael Jacksonの"I Can't Help It"の印象的なベースラインをサンプリング。メロウだが要所でヒップホップ的な掛け合いとHere We Go Again!のラフな掛け声を織り交ぜた後期ニュージャックらしい洒脱な一曲。

4. "You"

5. "Interlude: Passion"
ニュージャック4連発の後に、80年代ブラック・コンテンポラリー的なインストが入る。

6. "On And On"
キラキラしたシンセの80年代ジャム&ルイス的スロー。打ち込みのリズムは完全に80年代ブラコン。SaxはなんとGerald Albright。ツボを押さえた旋律のコーラスワークとサックスの映える逸品。

7. "Precious Moments"
またも80年代ブラコン風スロー。

8. "Down Wit Dat"

9. "Interlude: Snap Along!"

10. "Problems"

11. "Feelings"

12. "Day By Day"
これも80年代ブラコン風スロー。旋律は6に並ぶ完成度。

13. "Heartache"

14. "Yours Forever"
80年代ブラコン風スロー。これもなかなかいい。スローの方が得意なんだとわかる。

15. "Interlude: Why?"
エレピとシンセの最小限の装飾のコーラス曲。

16. "Here We Go Again! (Extended Remix)"



アルバムの基本線は時代に即した後期ニュー・ジャック・スウィング調のアップと80年代ブラック・コンテンポラリー風スローの二本立てになっている。3が代表曲だが、アルバム全体の白眉は6や12のスローである。



ヒット曲3だけだと後期ニュージャックの泡沫ボーカル・グループと思ってしまうが、通して聴くとプロデューサーMichael Angelo Saulsberryが実はジャム&ルイス・フォロワーであることがわかる。合間にインタールードを入れるアルバムの構成方法もジャム&ルイスがJanetやAlexander O'Nealで見せた手法を意識しているかもしれない。90年代のボーカル・グループとしては明らかに時代遅れなんだが、純粋な楽曲としてはスローの方が高品質で得意であることは間違いない。そして、2ndでは流行を無視して全編スローに振り切った傑作を生むことになる。